Shopifyは予想以上にお金がかかるかもという話

Shopify、使ってますか? メディアでは「黒船」扱いされたり、Amazonと比較されたりと話題のASP型ECプラットフォームです。本体は、ベーシックプランで 月額33ドルから利用できます。国産の他社サービスと比べてもお高い感じはしないのですが、意外とお金がかかることがわかりました。

要因1)為替相場に左右される

Shopify はカナダの企業が提供するサービスで、利用料はドルで設定されています。2023年12月10日時点のドル円相場は 1ドル=145円ほどですが、年始には1ドル=130円ほどだったことを考えると、日本円換算では 10%ほどの「値上げ状態」と言えます。利用料金自体も2023年4月に価格改定(値上げ)を実施しています。

つまるところ、世界的なインフレと円安で利用料金自体が当初の想定よりも高く感じられてしまうわけです。

要因2)プラグイン(Shopifyアプリ)による機能拡張がほぼ必須

Shopify には Shopifyアプリという機能拡張システムが用意されています。ここにもお金がかかります。と言いますのも、Shopify はECサイトの基本機能(商品掲載・買い物かご・決済 etc)は提供されますが、送り状(配送会社の伝票)発行などは Shopifyアプリで賄うのが基本です。カナダの会社が世界規模で提供するサービスなので、国ごとのローカルな仕様は現地のデベロッパーが Shopifyアプリで提供するというわけです。

送り状発行アプリ、配送日・配送時間指定アプリ、熨斗などギフト対応アプリ、データエクスポートアプリなどなど、複数のアプリが必要なことも多いです。そして、それぞれが月額10ドルなどの利用料(こちらも基本はドルベース...)が発生するので、むしろShopify本体以上の費用になったりもします。

要因3)決済ページを改修するには Shopify Plus プランが必須

決済画面(配送先や決済手段を選ぶページ)で「こちらの商品もおすすめですよ」とか「あと◯円のお買い上げで送料無料」とか出したいこともあると思います。このページを変更するには Shopify Plus というプラン(?)に契約が必要です。こちら、参考価格 2,000ドル/月 となっております。月額約30万円ですので、おいそれとは提案できません。どうでしょう、月商1,000万円くらいが目安でしょうか(適当ですよ)。

そうは言っても、魅力的なプラットフォーム

お金の面で想定以上の支出が発生しうる Shopify ではありますが、「黒船」と言われるだけのことはあるのも確かです。ベーシックプランから多言語対応・越境ECが可能ですし(弊社ではサポート外ですが)、玉石混交ながらShopifyアプリの充実ぶり(少なくとも数だけは豊富)もあります。スタンダードプラン以上で使える Shopify Flow(オートメーションワークフローを組む機能)なんて、考えるだけで楽しいです。

そんなわけで、意外と安くない Shopify です(弊社のクライアントで、純粋なシステム利用料が25,000円/月ほど)。用法・用量を守って、適切にお使いいただくとよろしいかと思います。


hamnalyの2016-17の取り組みとUXデザイン

そもそもUXデザインって何?

はじめに「UXデザインって何?」という点を整理しておきたいと思います。ひところはUXというだけでマサカリが飛んできましたからね。

UXという言葉が認知されるようになったのは、2010年代に入ってからと記憶しています。それまでも、ユーザーのことを考えなかったわけではありません。今と同じくらい考えていました。ただ、ユーザーを考えることについて、具体的な手法としては確立していなかったと思います。

それが2011〜13年ごろにかけて、HCD(人間中心設計)やサービスデザイン・デザイン思考といった手法・方法論と、UX / UXデザインというワードが結びつき、急速に広まったように思います。「ユーザーを考えること」について、共通のツール・認識で話せる環境が生まれた、と言えるかもしれません。

ここでは、UXデザインを「HCD(人間中心設計)やサービスデザインなどの方法論に基づく、ユーザー体験を向上させる手法」として話を進めます(異論はあるかと思いますが)。

hamnaly が UXデザインに取り組む目的

hamnaly がUXデザインに取り組む目的。それは「儲けたいから」です(身も蓋もない話で申し訳ありません)。儲けたいと言っても、適正な利益を得たいという意味ですよ。

お客さまが儲かる → 自分たちも儲かる

私たち制作会社のwebデザイナーは、お客さまのwebサイトを制作するのが生業です。「ユーザー(お客さまのお客さま)」の体験が向上し、「発注者(お客さま)」のビジネスに貢献できれば、自ずと次の仕事に繋がると考えています。逆に、望むような成果が得らなければ切られます。コレって、お互いに不幸ですよね。

そうならないための「何か」が必要。hamnaly の場合、それが「UXデザイン」の取り組みです。webサイトをただ作るだけでは効果は望めないご時世。「何を作るか」「どんな施策が有効か」を、ユーザーの行動に即して考えるツールとして使用しています。カッコいいデザイン・使いやすいシステム・メンテナンス性の高いコードなど制作スキルも、ユーザーが満足し、お客さまのビジネスに寄与して初めて意味を持つのですから。

企画・提案で差別化したい、願わくば費用をいただきたい

ところで、地元のweb制作プロダクションで、提案・見積もり作成に費用をいただいている会社はどのくらいあるでしょうか。不勉強にて恐縮ですが、寡聞にして存じません。提案・見積もり作成には、「ヒアリングしてお客さまの意図を引き出し、必要な施策を検討、何をどう作るかに落とし込む + 費用を積算する」という膨大な作業が必要です。

UXデザイン的な手法を取り入れると、提案のための企画・設計段階に従来以上のコストがかかります。hamnaly のような体力のない制作プロダクションでは、確度の低い提案は回避せざるをえません。そういう案件を避けるために、企画・提案段階から少額でも費用をご検討いただける方を優先しています。

とは言え、他所の制作会社と同様な提案では、費用をご検討いただけるはずもありません。hamnaly では、最初のヒアリング時に カスタマージャーニーマップ や ビジネスモデル・キャンパス の作成ワークショップを行ない、プロジェクトの概要・与件を改めて整理しています(ここまで無料)。そのうえで、具体的な提案を行うか(有償)をご検討いただきます。こうして、提案・提案の前にお互いに様子を伺う機会を作っているわけです。

でも、「銀の弾丸」はない

hamnaly では、2016年から提案・見積もりの有償化の取り組みを進めてきました。2017年はよりレベルアップして提案できるよう、さらに精進して参ります。

と言うと順調なようですが、そうでもありません。取り組みに価値を感じてくださる方ばかりではなく、まして費用が絡めば…なかなか厳しい状況です(ここは「ご縁がなかった」と割り切っています)。

何より「UXデザインに取り組めば、広告効果がアップする」というほど単純な話ではありません。確率を上げるには役立ちますが、仮説はあくまで仮説(ときに外れます…)。また、期待が大きくなりすぎて、変にハードルが跳ね上がることもあります。UXデザインはユーザーの思考・行動をモデル化するくらいのもので、具体的な施策を立案し、webサイトに落とし込む企画力・実装力は別に必要です。

UXデザインの入門セミナーが 2017.1.21・静岡市で開催

そんなUXデザインの入門セミナーが、2017.1.21(土)・静岡市 で開催されます。書籍『IAシンキング Web制作者・担当者のためのIA思考術』『IA/UXプラクティス モバイル情報アーキテクチャとUXデザイン』などの著作で知られる 坂本貴史さん(ネットイヤーグループ) を講師に、UX入門セミナー + カスタマージャーニーマップ制作ワークショップが行われるようです。

自分もカスタマージャーニーマップ制作の精度を高めたいと考えていますし、業務ではファシリテーションする側ですが、ワークショップの参加者としての気付きも大きいと思います。参加者として楽しみです。みなさまもぜひご参加をご検討ください。


名 称 : 今からはじめるUXデザイン+ワークショップ
日 時 : 2017年1月21日(土) 13:30〜17:00
会 場 : B-nest 静岡市産学交流センター 7階 大会議室
定 員 : 50名
参加費 : 一般 4,000円、当日 5,000円(いずれも税込)
主 催 : コマンドシフトシズオカ実行委員会
http://shifshizu.net/vol02/


ネット選挙が進まない理由

明日(2012/12/04)は、第46回衆議院議員総選挙の公示日です。投票日の12/16に向けて、いよいよ選挙戦が始まります。私自身は特に支持する政党もなく、応援する政治家もない“無党派層”です。そんな私ですが、ある方の紹介で某政治家について、ちょっとだけお手伝いをさせていただきました。それに関する雑感をまとめておきたいと思います。


今どきの選挙は世代間闘争でもある(かもしれない)


先日その政治家の「決起集会」というものに参加してきました。選挙突入を前にして、支持者に対して「がんばりますので応援よろしくお願いします」という挨拶のようなものでしょうか。それに参加している方々の顔ぶれを見て愕然としました。

参加者の過半数はどうみてもリタイア世代。現役世代(スーツを着ている参加者)の平均年齢でも50代は下回らないと思います。私は36歳ですが、明らかに最若年層でした(ほかに会社から動員されたと思しき方がひとりかふたり…)。その日は平日の夜ということもあったと思います。が、危機的な状況だと感じました。

支持者が高齢化すれば、高齢者向け政策が厚くなるのは当然

選挙(小選挙区)は多数決です。ですので、より確実に票が集まる人に支持される政策を訴えった方が、当選確率は高まります。熱心に応援する層が高齢化すれば、そういう方々の声が政治家に届きやすくなります。また、そういう政策を厚くすることが集票に結びつきます。

こうやって、高齢者に優しく(これ自体は悪いことではないのですが…)、若年層に厳しい(こっちは大問題)な政策が決定されていくのだと感じました。詳しくないですが、「〇〇に配慮した政策」とか「〇〇の業界団体に強い」など、いわゆる組織票と同じ構図なのかと思います。

若者は政治に関心がないのか?

政治家を積極的に応援している層が、圧倒的に高齢化しているのは確かそうです。では、若者は政治に関心がないのかというと、そういうわけでもないと思います。既存・新人に関わらず、積極的に応援できる政治家がいないのかなぁ、という感じはあります。

今回のご縁をいただいた方は、その政治家が始めて選挙に出たころから応援しているそうです。みんなが若かったなかで、〇〇を議会に送り込むぞ、と熱かったそうです。今はそういう熱気を若年層が持つのは難しいのかもしれませんが…。我々世代の声を代弁してくれる受け皿づくりは急務なように思えます。

これではネット選挙が進展するはずもなく

で、ネット選挙。これまで述べてきたような事情は、全国の多くの選挙区でも共通した課題だと思われます。一部の議員がTwitterやFacebookを利用しているといっても、大多数の議員は未だ「ホームページはあるけれど…」という状況です。自分で利用していないツールを推進しようとは思わないですよね。

支持者が高齢化し、ネットとはあまり縁がないように思われる状況下では、ネット選挙には及び腰になるのは無理もないことです。目の前の有権者には届かず、自分を支持しないかもしれない層が好むツールは未知の領域でしょう。それは諸刃の剣(もしくは自爆装置)かもしれないのですから。

このあたりの意識の根深さは、政治にかかわらず大きいのは感じます。だからと言って、ネット選挙はもはや時代の流れです。アメリカの大統領選を見ても、それが大きな力を持ち得ることは間違いありません。

結びに

今回の総選挙の争点は「原発」「TPP」「増税」になりそうです。これらも重要な問題かもしれません。ですが、私としては「ネット選挙解禁」を第1の判断基準にしたいと思います。そしてこれまで候補者がネットとどう向き合ってきたかを加味します。

投票日は2012年12月16日です。みなさんもぜひ選挙に行きましょう。


プロフィール

矢部 靖人(hamnaly)

いくつかの制作会社でWeb制作やDTPから営業まで経験し、2010年に独立。現在はhamnaly(ハンナリィ)という屋号で、Web制作を中心に地元企業のWeb活用を応援する事業を模索中。理想は高く現実は厳しく、下請け制作を中心に生きています。Knock! Knock! 主催。

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