【後編】静岡県のウェブ制作系セミナー / 勉強会 のこれまでとこれから

これは、静岡 Advent Calendar 2019 の17日目の記事となります。

静岡県のウェブ制作系セミナー / 勉強会 の今とこれから

本エントリーは、この10年ほど CSS Nite in Shizuoka の「中の人」をし、ウェブ制作系セミナー/勉強会を見てきた私の個人的な想いです。

前編では、2015年頃までの 静岡でウェブ制作系セミナー / 勉強会が盛んだったころ を振り返りました。ここからは、停滞期を迎えた今の状況と、今後の展望を考えたいと思います。

言語系勉強会の隆盛

ここ数年の 静岡県のウェブ / IT系勉強会で一大勢力を占めるのが「言語系勉強会」です。「静岡JavaScript勉強会」「Shizuoka.php」「Unagi.py」「日本Androidの会浜松支部」など、特定のプログラム言語に焦点を絞った勉強会をそう呼んでいます(勝手に)。「hamamatsu.rb」などは開催100回を超える老舗勉強会で、毎月または隔月の決まった日(第2水曜日など)に定期的に開催している会が多いようです。

内容も、全国的なイベントの参加リポートや読書会、もくもく会など、継続しやすい印象です。また、言語系勉強会を「越境」している方もいるようです。

この言語系勉強会については、静岡 Advent Calendar 2019の「私の知っている静岡中部のIT勉強会」や「弱い紐帯の強さとコミュニティ」が詳しいです。ぜひご参照ください。

CSS Nite 静岡版(第2期)とそこから生まれたもの

さて、ウェブ制作系の勉強会に話を戻します。

私が CSS Nite in Shizuoka 代表を引退し席を空けたことで、「次の世代」が動き出しました。「次は自分が」という方々が現れたのです。そこに興味のありそうな人を巻き込み、リスタートしたのが現在の CSS Nite in Shizuoka 実行委員会(第2期 ← 勝手に呼んでいるだけ)です。

CSS Nite in Shizuoka の開催に向けて、「コマンドシフトシズオカ(通称:シフシズ)」が始動。そして CSS Nite in Shizuoka, vol.6(2017年6月)、CSS Nite in Shizuoka, vol.7(2018年11月)を開催しました。そのなかで、静岡を離れた元スタッフの清水由規さんは、東京の CSS Nite でサブ司会をされています。「静岡発」の活躍です。

また、シフシズ / CSS Nite 静岡版のスタッフが、個別に企画・開催しているセミナー / 勉強会も生まれました。DORPThink About MeetUpShizuoka Creators Club などがそうです(時系列や活動内容など、相当にザックリな話ではありますが)。そのほか、WordBenchの後継イベントでしょうか、Shizuoka WordPress Meetup も活動されているようです。

2019年末の現在、活動状況が不定なグループもあるようですが、がんばって欲しいと思います。ぶっちゃけ、続けるのが一番大切で、一番大変なので。

新たなる希望

「言語系勉強会」「CSS Nite in Shizuoka と、そこから生まれた勉強会」という流れとは別に、2018年ごろから新しい動きも見られるようになってきました。

SOL-Tech は、しずおかオンラインさんが「静岡のエンジニアの交流の場として位置づけコミュニティを形成したい」とのビジョンで主催するイベント(定期開催?)。面白い試みとして、静岡の IT企業を知ってもらう学生向けイベント SOL-TECH for Stundents を開催されています。

静岡YLT は2019年12月14日に初回を迎えたもくもく会+LT。「静岡のプログラミング好きの学生さんたちでもくもく会やLTを行うイベント」とのこと。主催者はプログラムを勉強している現役高校生!! ほかにも大学生が運営している勉強会・もくもく会もあるようです。

UX Camp 浜松 は、UXデザインの手法を学ぼうという会。2019年に立ち上がりました。座学 + ワークショップの形式で、「ちょっと実践してみる」ところまでがセットになっているのが特徴です。

静岡マーケティング交流会 という集まりもあるようです(未参加)。「静岡市街中のカフェでWebについて情報交換をしませんか?フラッと集まり、気軽に話せる場にしたいと思います」とのことです。

その他、CoderDojo系の勉強会も各地で開催されています。小学生・中学生の活動も目にするようになってきました。スゴい時代になったものです。

個人的には、「デザイナーがデザインを学ぶ」ようなセミナー / 勉強会が欲しいなぁ...と思います。

ウェブ制作系セミナー / 勉強会の今後

さて、今後の話。
もう2010年代前半のような「週末ごとに何かセミナー / 勉強会がある」「50人〜100人規模の勉強会が、年に何度も開催される」という時代はこないでしょう。

勉強するだけなら、Qiitaのようなテック記事サービスや動画学習サイトが便利です。
セミナーが選ばれるシチュエーション、例えば「万人向け」で「セミナーで集中的に学びたい」ものは、今は限られていると感じています。決して否定的な考えではなく、業界が成熟した結果、「細分化」「分断化」したのは必然だと思うのです。

あとは、2010年代前半に勉強会をリードしてきた人たちの高年齢化。「独身 → 結婚・子どもが生まれる」「フリーランス → 法人化 / 就職」「制作の現場 → ディレクター職」「ウェブ / IT系 → 他業種への転身」など環境が変化し、勉強会に求めるものやプライオリティが変化しています。

若い人も「オジサンばかりの集まりに参加したくないよね?」と思ったり。ですので「若い人が、自分たちが欲しいコミュニティを立ち上げる」のは自然だし、それを応援したい気持ちでいっぱいです。

そんな時代だからこそ

とは言え、会社や既存コミュニティの枠を超えた「交流の場」も必要だと思います。
「閉じた環境」にいると先々のことよりも目先のことに注力しがち。結果、世間の流れから取り残されかけた経験があります。「新しいことにチャレンジ」「刺激し合う」ことは成長に欠かせない要素です。それは人との関わりから生まれることが多い。そんな場があって欲しいと切に願います。

10人や20人ほどのコミュニティ(をベースにしたセミナー / 勉強会)がいくつもあって、横のつながりが生まれ、年に1回くらい規模の大きい会(CSS Nite in Shizuoka がそういう場であって欲しい)が開催される。そこに参加した人が、またコミュニティで活躍したり、新しいコミュニティを立ち上げたり...。

という循環が理想かなぁ、と。そこに至る行程はノープランですが。

と、夢のような(夢そのもの)を語ったところで、この10年の振り返りを締めたいと思います。

CSS Nite in Shizuoka, vol.8「アドビ最新動向」は、2020年1月27日(月)・静岡市にて開催



最後に告知を。
次回の CSS Nite 静岡版は、2020年1月27日(月)・静岡市にて開催します。テーマは「アドビ最新動向」。ライト版的な位置づけで、平日夜に少人数(30名弱)での開催となります。

既に満席 → キャンセル待ちとなっています。増席の予定はないと言いつつ、キャンセル待ちの列が大きくなるようでしたら...、何か考えます。ご興味がございましたら、ぜひ「キャンセル待ち」にてお申し込みください。

hamko さん の出演が決まりました

今回の講師、鷹野さん(スイッチ / CSS Nite 主宰 / Adobe Community Evangelist)は鉄板ですが、hamko さんもスゴいらしいです。あ、私も面識がないので「伝聞調」です。

hamkoさんは静岡在住のデザイナー / イラストレーター(フリーランス)。書籍『神速Illustrator』の共著者(五十嵐 華子さん)。先日の Adobe MAX Japan 2019では、1,500人を集めた人気セッション「デザインツール最新情報! 現場で使えるスーパーテクニック徹底解説」に登壇。アドビの記事「#Illustrator30_30 #Ai30th 記念連載 | Vol.22 DTPオペレーター&イラストレーター hamkoさん」にも取り上げられています。『一部で“アピアランスの人”扱いされているので(笑)、いつも「どうせ丸一個なんでしょ」と言われるんですが』って、笑うとこじゃないですよ!

こんな方が静岡におられるのは励みになりますね。

ちなみにhamkoさんの出演経緯は下記の通りです。


大事なことなのでもう一度。既に満席 → キャンセル待ちとなっています。増席の予定はないと言いつつ、キャンセル待ちの列が大きくなるようでしたら...、何か考えます。ご興味がございましたら、ぜひ「キャンセル待ち」にてお申し込みください。

お申し込みはこちらから


【前編】静岡県のウェブ制作系セミナー / 勉強会 のこれまでとこれから

これは、静岡 Advent Calendar 2019 の8日目の記事となります。

CSS Nite in Shizuoka, vol.8「アドビ最新動向」は、2020年1月27日(月)・静岡市にて開催



まず告知から。
次回の CSS Nite 静岡版は、2020年1月27日(月)・静岡市にて開催します。テーマは「アドビ最新動向」。ライト版的な位置づけで、平日夜に少人数(20名ほど)での開催となります。

アドビのAI「Adobe Sensei」が制作にまつわる「作業」を劇的に簡単にしてくれるなど、デスクトップアプリはここ数年で進化しています。中でも2017年にリリースされた XD は、スクリーンメディアのデザインツールとして高い注目を集めています。

また、Photoshop iPad版(2019年リリース)や Illustrator iPad版(2020年リリース予定)など、デスクトップ版の機能をタブレットのインターフェースで使うアプリも続々と発表されています(これまでの「簡易版」的な位置づけではなく)。

こういったアドビ製品の動向・最新情報を、講師の鷹野さん(CSS Nite主宰・Adobe Community Evangelist)にご紹介いただくセミナーとなっています。


お申し込みは https://cssnite.doorkeeper.jp/events/101566 から。


静岡県のウェブ制作系セミナー / 勉強会 のこれまで

CSS Nite in Shizuoka は、2010年 9月 23日に三島市にて vol.1 を開催(初回)。そう、初回は三島市での開催でした。これは、運営母体(CSS Nite in Shizuoka 実行委員会)が、沼津・三島のウェブ制作者仲間を中心に結成されたことによります。vol.2 以降は会場を静岡市に移し、2020年1月の次回で8回目となります。

本エントリーは、この10年ほど CSS Nite in Shizuoka の「中の人」をし、ウェブ制作系セミナー/勉強会を見てきた私の個人的な想いです。

2010年代の前半 : 空前の大勉強会ブーム

2010年代の前半は、空前の大勉強会ブームだったと思います。静岡県内でもウェブ制作系セミナー / 勉強会が盛んに介されていた時期で、「週末ごとにセミナーがある」くらいの勢いでした。勉強会同士の横の繋がりも強く、「合同勉強会」「合同忘年会」など交流も盛んでした。ピークは2013年ごろだったように思います。

ATND や connpass など、イベント開催を簡易にするサービスも次々にローンチし、Twitter や Facebook が広まったこの時期。さらにはスマートフォンが急速に普及。ウェブ制作界隈的にも、「スマホ対応」「CMS」「JS/jQuery」「表示速度最適化」「UX」「SNSマーケティング」「ウェブ解析」など新しい技術・トピックが次々に登場したのも、勉強会ブームを後押ししたのでしょう。

CSS Nite in Shizuoka も、vol.5 までが2015年までの開催です。ここまでが、私が中心になって企画・運営をしていた時期。vol.5 をもって引退宣言をするわけですが、「隠居」が駆り出される日々は今も続いています。引退の真相(笑)は...。vol.3〜5あたりは実質ワンオペ状態で、だんだんと目的を見失っていったころ。開催に対する周囲の期待や義務感が先行し、それをプレッシャーに感じていたように思います。

Knock! Knock! の誕生と転換

私が「Knock! Knock!」という勉強会を始めたのもこの時期(2012年〜)です。勉強会を立ち上げた狙いは、「静岡在住のスピーカーを輩出する」でした。「東京で活躍する著名な制作者を呼ぶ」形式ではなく、「地元発」を目指す。そういう人を探し、ステップアップしていく足場を目指したものです。

結果は...そうそう目論見どおりにはならないものですね。「地元発」のスピーカーを増やすはずが、最終的には毎回私が話し続ける勉強会になっていました。「矢部さんはデキるかもしれないけど...」と言われたのはショックで、そもそもの話「セミナー / 勉強会の講師をやってみたい」というニーズがほとんどなかった...わけです(やりたい人は、自分で機会を作っていたようです)。

そこでピポットし、普通の勉強会(講師を招聘して開催)にしたのが2014年。とは言え、方向性を見失った状態なのは変わらず、2016年あたりからは 夏の飲み会 + 年末の勉強会 の年2回開催といった状況。

また、「自分が話す」という意味では、2014年から専門学校の非常勤講師を始めたことも大きかったかもしれません。それまで Knock! Knock! のためにやっていたことがルーティンになり、勉強会運営が負担に感じるようになったのは否めません。

そして停滞期へ

そんな感じで、私が関わっているセミナー / 勉強会は、2015〜16年あたりで転換期を迎えます。ほかの勉強会の事情はわかりませんが、同じようなタイミングで休止・終了していったように思います。

停滞期を迎えたウェブ制作系セミナー / 勉強会。そこに隆盛する言語系勉強会。さらに新しい波が...と続くわけですが、以下、後編(2010年代後半〜これから)に続きます。

この時期に開催された ウェブ制作・IT系セミナー / 勉強会のリスト

  • CSS Nite in Shizuoka
  • 静岡JavaScript勉強会
  • Hamamatsu.rb
  • 日本Androidの会浜松支部
  • WordBenchしずおか(WordBench自体が終了)
  • デジタルアシストWeb勉強会(活動終了)
  • TalkNote(活動終了)
  • 静岡アクセス解析勉強会(休止中?)
  • UX Shizuoka(休止中?)
  • 静岡ITPro勉強会(休止中?)
  • 静岡Developers勉強会(休止中?)
  • エンジニア◎リング(休止中?)

「静岡開催!インターネットとデザインで変わる地域社会の未来セミナーvol.1【デジタルハリウッド】」に参加しました


2015年 5月19日(火)・CCC 静岡市クリエーター支援センター(静岡市)で開催れたセミナー 静岡開催!インターネットとデザインで変わる地域社会の未来セミナーvol.1【デジタルハリウッド】 に参加しました。

※ 本ブログ記事は、個人がセミナー参加を通して感じたことです。セミナーの要約でも、セッションの感想でもなく、ただの所感であり、たぶん役に立ちません。

セミナーの概要

セミナーのサブタイトルに「少子高齢化時代を生き抜くために今、知るべき5つのコト」とあるように、これから本格化する人口減少・高齢化社会に対して、現役世代がどう捉えていくか、というものです。

  • 21世紀前半で、機械化・IT化・人口知能の発達により、仕事の内容・あり方は大きく変わる
  • 日本の人口が1億人を割るであろう2050年前後においても、食料の輸入は必須
  • それ故、外貨獲得のための国際競争力保持が必須
  • そんな高齢化社会においては、女性も高齢者も働かなければ社会は維持できない

お話を要約すると、上記のような夢も希望もないものでした。


CSS Nite LP38 「Webデザイン行く年来る年(Shift8)」に参加しました

CSS Nite LP38 「Webデザイン行く年来る年(Shift8)の会場風景

撮影:飯田昌之さん

2014年12月13日(土)・ベルサール神田(東京)で開催れたセミナー『CSS Nite LP38 「Webデザイン行く年来る年(Shift8)」』に参加しました。本セミナーは、主にWebサイト制作に携わる方向けのセミナーです。Shiftシリーズは、その年のWebサイト制作のトピックを振り返り翌年を展望するイベントです。

※ 本ブログ記事は、個人がセミナー参加を通して感じたことです。セミナーの要約でも、セッションの感想でもなく、ただの所感であり、たぶん役に立ちません。

この数年の変化に思うことなど

セミナーのリポートはほかの方も書かれているので、私からは所感を。

この数年は「Web制作の転換期」と言われ続けています。「スマートデバイス対応」「CSSプリプロセッサー(Sassほか)」「Adobe製品以外の選択肢」など、キリがないほどのトピックがあります。2000年代後半の「テーブルレイアウトからCSSレイアウトへ」くらい、大きな変化という方もいます。今年は特に、PCからスマートフォンへ主役が交代しつつあることを実感しています。


プロフィール

矢部 靖人(hamnaly)

いくつかの制作会社でWeb制作やDTPから営業まで経験し、2010年に独立。現在はhamnaly(ハンナリィ)という屋号で、Web制作を中心に地元企業のWeb活用を応援する事業を模索中。理想は高く現実は厳しく、下請け制作を中心に生きています。Knock! Knock! 主催。

エントリーリスト

カテゴリーリスト

タグ