| Web戦略
「みんビス」のインパクト
2011年9月13日に発表・開始された「みんなのビジネスオンライン(略称:みんビズ)」について、今のところの考えをまとめておこうと思います。
みんビズとは
みんビズはGoogle、KDDI、Jimdo、中小機構、ITCAが開始したホームページ作成サービスです。初年度無料(2年目からは945円/月〜)、15分で作成できる、豊富な業種別テンプレートetc...が特徴となっています。
あなたのビジネスが“オンライン”に!
あなたのビジネスがどのような業種であれ、
自社サイト(ウェブサイト)があれば、世界中の人々とオンラインでつながることができます。
Googleとパートナー企業・団体が提供する「みんなのビジネスオンライン」(みんビズ)は、
業種に最適化されたサイトを、7つのステップで簡単に、
しかも無料でつくることができるサービスです。
みんビスのインパクト
みんビスのサービスを言い換えると、豊富なテンプレートに基づく一定品質のホームページが誰にでも簡単に格安で作れるサービスを、Googleが提供するでしょう。これがホームページ作成業界に与えるインパクトは絶大なものがありそうです(ちなみに基本的なサービス内容は既存のJimdoの看板をみんビズに変えたものです)。
ホームページ作成・運営は、今2極化が進んでいると感じています(あくまで主観です)。1つは「大きなコストを投入し、大きな成果を目指す」流れで、大企業やインターネットメインの企業だ思われます。もう一つが大多数の企業の「できるだけコストをかけない」流れで、まさに中小企業・個人事業主(= みんビズのターゲット)に多いと感じています。つまり、ホームページ作成需要の大きな部分が「みんビズ」に移行する可能性が大きいのだと思います。
※ コストは「お金」と「手間」の両方を含みます。多くの場合、「手間を惜しまずお金をかけない」や「アウトソーシングにより手間(または専門知識やノウハウ)をお金で買う」ということが行われます。どちらも正しく、適宜使い分けるのがベターだと思います。
「みんビス」はホームページ作成者の脅威か?
前出の「コストを投下できる」ホームページ運営をされている企業さまとの仕事には何の影響もないでしょう。高いスキルで、みんビズにできないホームページの価値創出を提供していくという方向性です。
他方で「みんビズでいいじゃん」というコストをかけないホームページ作成についても、歓迎するサービスだと考えます。一定品質のページが簡単に安く作れるのならば利用しない手はないですよね。みんビズが適している企業さまに対して、ホームページのデザインやHTMLコーディングはみんビズに任せて、もっとほかの部分でお役にたてると思っています。
コンテンツ・ファースト
みんビズが用意してくれるのは「ホームページの容器」と「仮のコンテンツ」です。容器に入れる「本物のコンテンツ」は、それぞれの企業さまが作成するものです。企業さまの悩みは「コンテンツ」にあります。「何を掲載すればいいのか」「どのように表現すれば伝わるのか」に苦労されている方が多くおられます。私たちはコンテンツのお手伝いに専念すればいいのです。
テンプレートについても、14業種100パターンが多いかといえば、十分ではないはずです(これは今後も増え続けると思います)。みんビズが用意する「ホームページの容器」と「仮のコンテンツ」が良くできているだけに、ユーザー企業さんが「仮のコンテンツ」を表層だけ書き換え、安易に「本物のコンテンツ」にしてしまうこともあるでしょう。それで通用するほどインターネットでのビジネスは甘くはないと思います。
写真のクオリティ、Webで有効なテキストライティング、セマンティックな文書構造など、みんビズでもWebの専門家がスキルを発揮できる場面は少なくないはずです。さらにウェブ解析(アクセス解析)やウェブマーケティングの基礎などの運用フェーズでも、クライアントにWebの専門家として助言を求められます。運用フェーズではみんビズもそれ以外で作られたホームページも区別なく施策が必要と考えます。
そんなわけで、みんビズがホームページ作成の敷居を下げ、需要を喚起してくれるならば、むしろ私たちWeb屋の役割がより重要になり仕事が増える、と考えています。
中小企業の社長さんはオリジナルが好き
また、オリジナルにこだわるクライアントさんもおられます。テンプレートをカスタマイズという点でNGなのです。特に中小企業の創業者の方にその傾向が強いように感じます。そういう需要も少なからず存在しますので、そこに集中する戦略もあるのでしょう。
余談:ホームページ作成の2極化
低コストなホームページ運営は「コストをかけず、成果もコストに見合った期待値を持つ(= 多くを期待しすぎない)」と考えるのが良いと思います。投資に見合う適切な成果目標を検討することが大切ですよね。しかし「コストをかけられず、成果を期待できない」という場合もあり、「コストはかけないけど、しかし大きな成果を期待。結果、ホームページは役に立たないと感じる」ということもあります。またコストの大小は競合他社が投下するコストとの相対量という視点も重要です。
それにしても厳しいのは容器を作る業務でしょうね・・・。
余談:みんビズのパートナー企業・団体の思惑を想像する
崇高な理念もおありでしょうが、それぞれの企業・団体が何らかのメリットを狙っていることも事実でしょう。それを私なりに考察してみます。これはあくまでも私が勝手に想像しているだけです。なんの確証もないですが、そんなに外れていないんじゃないかと思います。
- Google : 中小企業のホームページを増やして、AdWords広告の見込み客を拡大
- KDDI : 「KDDI まとめてオフィス」の付加サービスとして、ITCを一括提供
- Jimdo : Jimdo(みんビスで提供されるホームページ作成システム)の利用者拡大
- 中小機構 : 中小企業を支援するサービスならのっとくか?
- ITCA : みんビスのコンサルティングで、ITコーディネーターの仕事を増やす
本当のところはどうなんでしょうね。