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第29回WebSig会議に参加しました
2012年3月3日(土)にシナジーカフェ GMO Yours(東京都渋谷区)で開催された第29回WebSig会議『効率化だけではない!中小~中堅ECサイトの成果を上げる「メディア編集力」とは』に参加しました。今回は青木 耕平さん(クラシコム)さんが実践するECサイト運営を「ECサイトのメディア化」という切り口からお話しいただきしました。
第1部 : セミナー「クラシコムのノウハウ大公開!」
青木さんのお話は、ご自身が「弱者の戦略」とおっしゃるように、中小の独立ECサイトが楽天市場やAmazonのような大手モール/大規模サイトのスキマでどう勝ち残りを狙うかというのがテーマでした。さらに言えば、商品力よりも「売り方」で差別化を狙うという方法論です。(右図のグレー部分、コンテンツドリブンという部分の戦略)
また「まだ成功していない」「消去法で残った方法論」「楽天市場から撤退できた」とおっしゃることも見逃せないと思います。
メディア編集力
まずクラシコムさんの戦略が「ECサイトのメディア化」。通常ECサイト=売り場と考えます。そこをメディアと捉え、「見てるだけで楽しい」「雑誌に購入ボタンがついてる」というポジションを目指してるそうです。
メディア化を「ファンに愛されるコンテンツが継続的に提供されるサイト作り」と捉えれば腑に落ちます。ファンが増え、訪問回数が増えれば自然と購入に結びつく、ということでしょうか。
また愛されるという状況を「興味→敬意→信頼→共有」というステップに分解されて説明されました。そしてコンテンツの提供側が関われるのは「興味」のステップだけで、その先はユーザーに感じていただくことしかできないというのも納得です。
メディアとして成立する要件は「明確な編集方針」「見る/読むことが目的」「常に新しいコンテンツを投入」であり、そこで大事なのが「メディア編集力」。端的に言うと『「誰に」「どんな切り口で」伝えるのか』とのことですが、それを支える戦略的方針・企画力・維持・更新できる仕組化がキモのようです。
グループワーク
後半のグループワークでは、ヴィトンのバッグを扱うECサイトをクラシコムさんのポジション戦略で運営する場合の「メディアの編集方針」を検討しました。
私たちのグループでは、ブランド品に関心のない人にどう訴求するかという観点から、「地方の土建屋さんが、飲み屋のお姉さんにいい格好する」ためのブランド品通販サイトを考えました。ある意味ネタ的な方向性ですが、利用者の顔が浮かぶようなサービスですし、運営側も個性を持ちやすいように思います。発表に対する講評では、「ターゲットが狭すぎるかも」とのこと。確かに…。
グループワークを通じて、改めて「物語性という競争戦略」「共感マーケティング」「ペルソナ」と言われるものが、実感を持って理解できたように思います。これらは普段から口にしていることではありますが、これまではバラバラに考えていて、案外実感を伴わないように感じることが多かったものです。それが『誰に』『どういう切り口で』を考える中で、実感としてつながる感覚がありました。
イベント全体を通じて
このところの自分のテーマに「何を作ればお客さまの利益に貢献できるのか」「どういう方向性で作ることが利益貢献につながるのか」というものがあります。制作者としてお客さまのお役に立つということを、もっと追求していかなければと考え続けています。
今回のセミナーでは「何を作るかというか」「どう作るか(技術的な意味ではなくコンテンツ的に)」ということを、メディア化という切り口で考えました。それはより本質的には事業者の戦略であり戦術であって、その表出されたものが「メディア編集力」です。そういう点でも非常に示唆に富むものでした。
私は制作サイドの人こそもっとこういうトピックに意識的であるべきだと思います。制作者はいわばお客さまの分身として、制作部分を担当するようなものです。そこではお客さまの意図を汲み取ることや、ぼんやりとした意図をクリアーにすること、そしてそれをホームページという形で表現することが求められるからです。
そういった意味でも非常に満足度の高い、WebSig24/7さんらしいイベントだったと思います。