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CSS Nite LP, Disk 20:Webデザイン行く年来る年(Shift5) に参加しました

2011年12月10日に東京・ベルサール神保町 ルーム1-2で開催された、CSS Nite LP, Disk 20:Webデザイン行く年来る年(Shift5)に参加しました。今年は過去2年とは異なり、LP(ロングバージョン)として拡大開催されました。

このイベントはCSS Niteの年末恒例イベントで、その年のWeb制作環境を振り返りつつ来年を展望するものです。公式サイトには下記のようにあります。

マークアップ、アクセシビリティ、ツール、デザイントレンドに加え、スマートフォンの5ジャンルで、今年のWeb制作シーンを振り返ります(RIAは廃止)。
さらに、「地方のWeb制作ビジネス」、「“みんビズ”で変わる!?今後のWeb制作ビジネス」の2セッションを今年のみの企画の企画として追加します。

基調講演 : 我々が知る世界の終り(けど大丈夫)(長谷川 恭久さん)

長谷川さんのメッセージは、「Webサイト制作の終焉」という刺激的なものでした。我々が生業としているWebサイト構築、あるいはWebサイトの有り様が変わりつつあるといいます。サイトのコンテンツがソーシャルメディア(FacebookやTwitterなど)を経由してユーザーに届くスタイルが一般化し、サイトから独立して消費されるようになってきています。

言わば「ポストWebサイト時代の始まり」を迎え、我々Web制作者に求められている役割も変化しつつあります。Webサイトという容れ物をデザインするのではなく、コンテンツをデザインすることであると。あるいはコンテンツと人の関係、コンテンツとコンテンツの関係をデザインすることともおっしゃいっています。

Webの専門家として求められるものが変わりつつあるというのは、とてもエキサイティングなことですよね。

マークアップ(益子 貴寛さん、小山田 晃浩さん)

2011年はHTML5の利用が一般のサイトにも広がりつつあったとのことです。またCSS3はスマホサイトを中心に普及し、Responsive Web Design(画面幅に応じてダイナミックにレイアウトを変更するデザイン手法)にもフォーカスが当たった年でした。ほかにも「Boilerplate」「normalize」「IE6のサポート終了」「Sass/Less(CSSメタ拡張言語)」などがキーワードでしょうか。ブラウザ/デバイスの進化で、2012年はもっとHTML5にシフトすることが予想されます

フロントエンド技術で外せないのはやはりJavaScript。HTML5 API群の利用、jQueryなどのライブラリ、node.jsなどサーバーサイドJSと話題に事欠きません。HTML5+CSS3+JavaScriptは、2012年のフロントエンド実装の必須スキルとなりそうです。

アクセシビリティ(植木 真さん)

2010年8月に改正されたJIS X84341-3:2010を受けて、2011年はJIS対応を謳う企業サイト・自治体サイトも登場してきたそうです。アクセシビリティというと規格の理解にフォーカスが当たりがちです。ですが、今回は「HTML5とアクセシビリティ」と題して、HTML5での実装方法とブラウザ/支援技術(読み上げソフトなど)の対応方法についてお話いただきました。

「アクセシビリティ対応=障害者、高齢者、一時的な障害のある人」という定義にもあるように、「回線状況が悪く画像を非表示」「音声を出力できない状況でのビデオ再生」など、アクセシビリティ対応が情報伝達を大きく左右する場面は日常的に起こりえます。また、iPhone 4Sで話題になったSiri(会話によるスマートフォン操作機能)などを踏まえ、Machine-understanableなマークアップの必要性も増してきています。それに対してもアクセシビリティ対応が有効というのが印象的でした。

“みんビズ”で変わる!? 今後のWeb制作ビジネス(高畑 哲平さん、東後 澄人さん)

2011年9月にスタートした みんビズ は、Googleさんがサイト構築サービスに参入したということで大きな話題となりました。セッションはサービス提供者が語る実情(前半)と、制作者代表の原さんの質問に提供者が応えるパート(後半)の2部構成で行われました。原さんの鋭く直球勝負な質問が光ったセッションでした。

意外だったのは、参加者のみんビズに対する反応がイマイチだったような気がすることです。もちろんWeb制作者向けのイベントですし、制作会社が積極的に取組む類のものではないのですが、もう少しいろいろな反応がありそうな気もしていました。2012年はみんビズの真価が問われる年となりそうですね。

地方のWeb制作ビジネス(後藤 誠さん、岡崎 理枝子さん、山崎 正宏さん、蝦名 晶子さん)

岡山・高松・青森の3都市から4名の方が登壇されました。数名規模またはフリーランスが多いこと、分業化など東京のスタイルが普及しつつあること、コネや人脈が何より大切なこと、お金にシビアなクライアントが多いことなど、どの地域でも共通した事象が多く共感することばかりでした。これらは地方に特化したことではなく、東京でも同じという声が多かったのも印象的でした。また、オフレコですので書けませんが、受注金額の生々しい話も興味深かったです。

同じ「地方」といっても静岡県は規模が大きく(人口370万人、全国10位)、静岡県地方と言ってもいいほど独立性(内向き度)が高い感じがあります。そのためか、比較的規模の大きい(数十人規模)の制作会社もいくつもあります。他方で、首都圏に比較的近いためか、東京ブランドが根強く、東京に発注することがある種のステイタスになっているような風習も根強いと感じています。地方といっても事情はまちまちですので、ほかの都市のお話も聞いてみたいと感じました。

ツールと制作環境(鷹野 雅弘さん)

鷹野さんからはAdobe CSシリーズなどのツールと、電子書籍(ePub)についてのお話でした。今年はAdobe CS5.5が発売され、またAdobe Creative Cloudが発表されるなど、ツールの話題も盛んでした。Fireworksの便利な拡張機能やDreamweaver CS5.5の新機能説明あり、電子書籍フォーマットの一つePubについての概略ありと、コンパクトな中にも盛り沢山なセッションでした。

個人的にはツールに振り回されたくない、特定のツールに依存したくないという思いがあります。他方でツールからちょっと距離を置くことで、便利になっている部分を見過ごしているなどのデメリットも感じています。制作ツールに関してはAdobe製品でほぼ一択な状況ではありますので、2012年はもう少しバランスよくツールの勉強もしていこうと思いました。

スマートフォン(たにぐち まことさん、矢野 りんさん)

今年も引き続きトレンドだったスマホ対応。2011年は日本企業のAndroid端末も出揃ってきたことで、市況は活気を帯びつつ混沌としてきた年と言える思います。スマホサイトの話で印象的だったのがユーザー像の変化。日常的なWebサイトへの接触が、スマホやタブレットなど非PC中心にシフトしつつあることは、イメージとしては感じているものの改めて解説されると納得でした。

スマホ対応の実装方法としてのResponsiv Web Designについても、「モバイルファースト+JavaScript」とという考えが印象的でした。これまでResponsive Web Designというと、PC用のサイトからモバイルへ最適化のために重要度の低いパーツを非表示にするイメージでした。これが新しい発想では、スマホ/モバイル用のサイトがまずあって、画面の広いPC用には付加情報をJavaScriptで追加していく、とのこと。ここでも JavaScriptの重要性が説かれますが、この考え方がストンと府に落ちました。

デザイントレンド(原 一浩さん、矢野 りんさん、坂本 邦夫さん、小山 智久さん)

このセッションは、ここまでの技術的な話から一転して、デザイン表現のトレンド分析で2011年を振り返るものです。今年は矢野さん(デザイン)・坂本さん(カラー)・小山さん(IA・UI)という専門家を迎え、それぞれの視点から解説を加えてもらうという趣向で行われました。内容については再演版が予定されているようなので差し控えますが、今年も期待を裏切らない、素晴らしいセッションでした。

原さんはサイトのキャプチャー収集とトレンド分析をライフワークとされています。トレンド分析の内容はもちろん、多くの実例に触れることの大切さ、続けることで蓄積されるものの重み、仮説・分析とアウトプットによる精錬など、毎年多くのことを教えていただけるセッションです。今年も本当に素晴らしいセッションでした。

全体を通して

Shiftの参加も今年で3回目。昨年・一昨年の資料を見返すと隔世の感があります。こうして去りゆく1年を振り返り、来る1年を展望するイベントは、日常のなかで見落してしまったり、後回しにしていることに気づかされるなど、多くの発見があって楽しいものです。これもイベントを支えている主催の鷹野さんはじめスタッフの方々、出演者のみなさま、参加者のみなさまのおかげです。この場を借りて、改めてお礼申し上げます。

そして、2012年も笑ってすごせるように、Shiftに笑顔で参加できるように、一緒にがんばりましょう。


プロフィール

矢部 靖人(hamnaly)

いくつかの制作会社でWeb制作やDTPから営業まで経験し、2010年に独立。現在はhamnaly(ハンナリィ)という屋号で、Web制作を中心に地元企業のWeb活用を応援する事業を模索中。理想は高く現実は厳しく、下請け制作を中心に生きています。Knock! Knock! 主催。

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