選択されているタグ : 看板 , 情報デザイン

案内看板の情報デザイン

情報デザインとは

街角で見かけた某自動車学校の案内看板なのですが、ちょっと気になったことをまとめてみました。何が気になったかと言えば「この案内看板は何か足りないなぁ」という気がしたのです。難しく言うと「情報デザイン的に疑問がある」ということでしょうか。

情報デザイン(ウィキペディアより)

情報デザイン(Information Design)は、人間とモノや環境との関係性にかたちを与える方法論、生活の中にあふれる無数の情報をわかりやすく提示する手法、あるいは、それらの考え方。

この看板が伝えたい情報は?


某自動車学校の案内看板

看板は上下2段です。上段と下段で訴求している情報が異なりますよね。

上段では自動車学校の認知を目的に、「自動車学校の存在」「名称」「連絡先」をアピールしています。赤字に白抜き文字という目立つ構成で非常に目立っています。大学生が多く通る場所で、信号のある交差点そばということもあり、役割を十分に果たしているんじゃないかと思います。

下段は自動車学校の場所と建物外観が記載されています。地元の大まかな地図と外観写真が半分ずつですね。パッと見るとよくできてるようにも思えますが、ちょっとした疑問も湧いてきます。

地図が提供している情報は?


地図部分の拡大

この地図が提供している情報は何でしょうか。自動車学校の存在する場所を教えてくれますよね。ではこの看板を通りすがりに見て、自動車学校にたどりつけるでしょうか。

まず現在地がよくわかりません。よくよく見ると小さく現在地が掲載されていますが、通りすがりには気づかないくらいの主張です。現在地は目的地をの位置関係を示す重要な情報です。看板は固定されて動きませんので、現在地を明らかにすることのデメリットはありません。

また現在地からどのように行けばよいかもわかりません。近辺に住む大学生をターゲットにしてるとすれば、自転車ないし送迎バスで通うことになると思います。そういう方に「どういうルートで行けばいいのか」「送迎バスが停まるポイント」という視点から案内する方が、より望ましいように思います。

※ あくまでも私が勝手に思っただけです。広告主・広告エージェンシーなど、それぞれの思いはまた別にあるのかもしれません。

その情報は「誰トク」ですか

情報は受け取る人によって価値は変化します。前述の看板について言えば、運転免許の取得を考えている方に「自動車学校に入校」というアクションを喚起します。そこで免許を取りたい人と、入校して欲しい自動車学校のメリットが合致するわけですよね。


地図にルートを入れるだけでも

さらに、どこの自動車学校にしようか検討中の人に、「うちが近いし通いやすいですよ」というメリットを訴求し選んでもらうには、まだまだできることがあるのではないかと思います。看板の目的は広告主の自動車学校に入校してもらうことであり、ほかの自動車学校では困るのです。せっかく地図と外観に大きなスペースを割いているのですから、もう一押しが欲しいと思うのです。

広告の効果を最適化するためには、「誰トク」を考えて情報の受け手のメリットを最大化する情報デザインが必要ですよね。その上で的確に表現する広告クリエイティブが求められます。「何を」「どのように」表現するかです。その際に「どのように」が「何を」を増幅することはあっても、「どのように」で「何を」の不足を補うの難しいと考えます。

とかくデザイン業では「どのように」ばかりに目が行ってしまいますが、「何を」の本質をもっと広い視野で考えられるようになりたいものだと常々思っています。


プロフィール

矢部 靖人(hamnaly)

いくつかの制作会社でWeb制作やDTPから営業まで経験し、2010年に独立。現在はhamnaly(ハンナリィ)という屋号で、Web制作を中心に地元企業のWeb活用を応援する事業を模索中。理想は高く現実は厳しく、下請け制作を中心に生きています。Knock! Knock! 主催。

エントリーリスト

カテゴリーリスト

タグ